ギャッベとは？メリット・デメリットについて解説

カーペットにはさまざまな技法で織られたものがあり、産物としてはペルシャ絨毯が有名です。そのうち「ギャッベ」と呼ばれる絨毯は素朴な風合いと、自然素材に由来する実用品としての暖かさや柔らかさで人気が高まっています。

本記事では、ギャッベとはどのような織物なのか、メリット・デメリットを踏まえて解説します。

ギャッベとは？　どこの国で作られている？

ペルシャ絨毯の一種であるギャッベはイランで作られています。正確にはイラン南部にあるザクロス山脈の周辺に住まう「カシュカイ族」という部族の伝統工芸品で、ペルシャ語で「毛足の長い絨毯」という意味の織物です。元来は遊牧民であるカシュカイ族が避暑や防寒のためテントに敷くもので、100％羊毛で織られた厚みのあるクッション性が特徴です。

そのため厳密にはカシュカイ族が織ったもの以外はギャッベではありませんが、現在ではその特徴を踏襲した絨毯をギャッベと呼び、各地で製作されています。

ギャッベのメリット

ギャッベには特有のメリットがあり、数ある絨毯の中でも印象的なアイテムとして愛好されています。

以下にギャッベの代表的なメリットを5つ挙げました。

100％ウールで暖かく柔らかい

ギャッベ本体の素材は全て羊毛、つまり100％ウール製です。そのため空気の層をたっぷりと含んで暖かく、柔らかいことが大きなメリットとして挙げられます。

ギャッベが生み出されたイラン南部の土地は寒暖差が激しく、石や土の凹凸がある地面に直接敷くため暖かさと柔らかさは必須の機能でした。厳しい自然環境を生き抜いてきた遊牧生活の知恵から生み出された、天然素材のカーペットといえます。

全て手作業で紡がれている

ギャッベは全て手作業で紡がれた毛糸を用いた織物であることも大きな特徴です。

紡ぐというのは原料（ギャッベでは羊毛）を糸にしていく作業のことで、刈り取ったウールを色合いで分け、縦に棒を通した糸巻きを錘（おもり）にして毛の束を細く長く撚り合わせていきます。糸一本に至るまで人の手で作られたギャッベは独特の手触りがあり、手作りの工芸品ならではの優しい風合いもメリットの一つです。

化学染料ではなく草木染め

ギャッベは化学染料ではなく、草木染めによって染色されていることもポイントです。
天然の着色料を用いる草木染めは、化学染料に比べて人体や環境への負荷が少ない点が大きなメリットです。

また自然由来の柔らかな色合いも魅力で、例えば赤色には西洋アカネ、黄色にはザクロ、赤茶色にはクルミの皮、青色にはインディゴ、緑色の一部にはジャシールという灌木が使われています。

耐久性が高い

ギャッベのメリットには耐久性が高いことも挙げられます。

元々遊牧民の生活用具として生み出されたギャッベは、地面に直接敷くのが本来的な使い方であるためクッション性が高く丈夫です。羊毛を丁寧に手で紡いだ毛糸をふんだんに用いて織られた厚手のギャッベは、強靭な絨毯であるといえ、屋内で使う場合にはより長い使用に耐えることができます。

一点もので愛着が湧きやすい

ギャッベは全て一点ものといえるため、愛着が湧きやすいメリットもあります。手作りであることや草木染めを用いていることとも関連しますが、大量生産品ではないギャッベはいずれも一つとして同じものがないワンオフ品です。いわば世界にたった一つのものといえ、使い込むほどに愛着が増すのも魅力です。

ギャッベのデメリット

多くのメリットがあるギャッベですが、もちろんデメリットもあります。ただしいずれも長所と表裏一体の部分であるため、ギャッベの特質をよく理解するためのヒントにしてください。

以下、代表的な3点を挙げました。

ダニやカビが繁殖しやすい

ギャッベのデメリットとしてはダニやカビが繁殖しやすいことが第一に挙げられます。厚みのあるウール製絨毯のギャッベは奥の方でダニ・カビがはびこりやすく、食べもののかすや湿気がたまると温床になってしまうケースがあります。

特に日本では湿度の高い時期があるため、掃除やお手入れを小まめに行うことが肝心です。

水で洗えない

ギャッベは水で洗えないという点がデメリットの一つとなります。ギャッベの素材であるウールは水洗いすると縮んだり、湿気が残ると染みになったりするためです。

お手入れの際は掃除機でほこりをよく吸い取り、固く絞った濡れ布巾などで叩くようにして汚れを取る方法がおすすめです。

遊び毛が出やすい

ギャッベは遊び毛が出やすいこともデメリットの一つに挙げられます。遊び毛とは織物から毛が抜け落ちることで、ウールのように比較的短い繊維を撚り合わせたり、絡めたりして作られた糸によくある現象です。

遊び毛自体は欠陥ではなく織物の特質にあたる部分ですが、全てが手作りされているギャッベではその傾向が強めであるといえます。

まとめ

イラン南部のカシュカイ族による伝統的な絨毯・ギャッベについて、その概要とメリット・デメリットを解説しました。暖かく柔らかで自然素材ならではの優しさを持ったギャッベは、室内用のカーペットとしても人気です。耐久性・クッション性にも優れているため、お部屋で快適に過ごしたいとお考えの方にもおすすめです。

本格手織りのペルシャ絨毯専門店、ペルシャン・ギャラリー青山本店では、ギャッベをはじめ多くの商品を取りそろえています。絨毯選びの際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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