クッションカバーなら「ギャッペ」を使った商品もおすすめ
「ギャッペ」と呼ばれる手織り物を使用したクッションカバー
クッションカバーにもさまざまな種類がありますが、「ギャッペ」と呼ばれる織物もその一つです。こちらは、西アジアの中でも古い歴史を持つ山岳民族の1つ、カシュガイ族がテントの中で使用する手織りのカーペットです。カシュガイ族は、羊とヤギを追う放牧の生活を何百年もの長きに渡って続けており、生活必需品であるテントや寝具、乳製品などのほとんどを自給自足でまかなっています。西アジアでは、遊牧民が定住生活を送るようになる動きが急速に進んでいますが、そうした中でも、今なお遊牧生活にこだわり続ける誇り高き存在、それがカシュガイ族です。
遊牧民の女性による手作業で織られるギャッペは、インテリアにこだわる人たちの心を惹きつけてやみません。この織物には、織り手の女性たちが遊牧生活の中で眼にする風景や生活模様がありのままの姿で織り込まれています。例えば、山・川・花・木・鳥・夕日などの自然の風景や、織り手の女性、羊飼いの男性、結婚式の宴の様子がモチーフとなっているのです。ギャッペは、心癒される優しい手触り、クオリティの高いデザインセンス、遊牧民の情緒豊かな感性が活かされた手織り物なのです。
ペルシャ語で「粗い」という意味を持つこの織物は、長きに渡って、カシュガイ族の娘さんたちの嫁入り道具に使用されてきました。彼女たちは、嫁入りすることが決まると、家族の女性たちの協力も得て、結婚するまでに3枚ほどを織り上げます。
ギャッペに込められた織り手の想いとクッションカバーの仕様
また、嫁入り支度の時だけではなく、遊牧民の間で、暇を見つけても織られます。この織物を仕上げるには非常に長い時間が掛かります。そのように手間暇を掛けて仕上げたギャッペは、織り手の女性たちにとって、まさに我が子のような存在と言えるのです。
手作業で仕上げられるギャッペは、フワフワとした肌触りに特徴のある、羊毛100%の手織り物で、当然ながら、全て1点ものとなります。したがって、同じ品物はこの世に2つとなく、1つ1つ異なる趣のギャッペを楽しむことができます。また、ギャッペを使用したクッションカバーは、家庭で手洗いし、脱水機に掛けることも可能です。
ギャッペのクッションカバーは縁がかがってあるため、単体でもすっきりとまとまった感じに置くことができます。また、好みによっては、4隅に付いている房を取り外すことも可能です。したがって、中にクッションを入れず、カバーだけでも座布団として使用することも可能になります。イランの遊牧民・カシュガイ族が、質の良い羊毛や草木を使って染色して、自然の風景や結婚式・子どもたちの様子など、遊牧民の姿を柄として織り込んだものがギャッペクッションカバーです。その中でも、裏返しにした時に、ファスナーの部分が隠れるように作られているものは、リバーシブルで使用することができるというメリットもあります。
カシュガイ族がギャッペを織り上げる方法
テントの中の敷物としてギャッペを使用するカシュガイ族は、何百年もの長きに渡り、イランの中央部から南部に位置するザクロス山脈でテント生活を送っています。そのような遊牧生活の中で、高地で採取される上質の羊毛を、草木染めと呼ばれる手法を用いて染め上げ、周りの風景や暮らしの様子を、ありのままに柄として織り込みます。
ザクロスの高地では、羊飼いの男性が、羊の世話とこの織物に使用するウールの刈り込みを行います。こちらの羊毛は、現地の寒い冬を乗り越えた羊の毛を、春先に刈ったものです。手慣れた羊飼いなら、約20分で1頭の羊の毛刈りを行います。そのようにして刈り取った羊の毛は、ほぐして綺麗にしてから、手作業で紡ぐこととなります。手紡ぎにこだわるカシュガイ族では、小さな子どもさんからお年寄りまで、とにかく暇を見つけては、この作業が行われているのです。
そして、手紡ぎの作業が終わると、草木染めの段階に入ります。草木染めをするための染料、媒染剤などを用意した後、染色用の鍋に紡いだ毛糸の束を入れ、染色作業を行います。その際、染色する時間など、さまざまな微調整をすることによって1つの染料から数種類のカラーバリエーションが生み出されます。染色した毛糸の束は流水で洗い、余計な染料を落とします。洗うと、染められた色が鮮明になります。その後は、縦糸を張った織り機を地面に設置し、ギャッペを織ることとなります。
この手織り物の素材となるウールはオーガニック染料で染め上げられます。その染料は、カシュガイ族が遊牧生活を送るかたわら、身のまわりにある草木から集めたり、バザールで入手したりしたものです。この織物をつくるために用いられる草木染めという染色技術は、天然の染料を使用するため、環境にも人体にも優しく、小さな子どもさんなどにも安心して使うことができるのです。