ペルシャ絨毯は、産地や工房ごとに特長があり、見た目や品質も大きく異なります。イランの国策産業であるペルシャ絨毯は、イラン全土で生産されており、特に「タブリーズ」「エフファハン」「ナイン」「クム」「カーシャ」が5大産地と呼ばれていて、日本でもおなじみとなっています。
中でも、日本で人気を博しているのは、ナイン産のペルシャ絨毯です。ナインではベージュが多用されていて、日本の住宅環境にマッチし、経年変化によって、だんだんとベージュから飴色になっていう様子も、日本人好みといえるのではないでしょうか。
ペルシャ絨毯の善し悪しは、ノットの密度やラインが正確にでているデザイン、駒谷かで強固な織りなどで判断されます。ふかふかで毛足の長いものが、絨毯では高級感にあふれたイメージがありますが、ペルシャ絨毯にはこれはあてはまりません。上質な絨毯は、1㎡あたりのノット数(編み目の細かさ)に注目し、ノット数がより高密度なほど良い品とされています。また薄手の絨毯ほど、細い糸を使用し、膨大な時間が費やされるため、完成までには1~3年、中には10年以上の年月がかかる場合もあります。細い糸を織れば織るほど耐久性も上がり、精巧な文様を実現することができます。
イランの乾燥した風土の中で生きるペルシャ羊の毛は、弾力性に富みとても強靱です。ウールは引っ張られても強度を発揮し、毛が寝てしまうこともないので、踏まれても長持ちし、敷物にはとても適しています。
使用し始めて半年ほどは、遊び毛がでることもありますが、切れ毛が生じることもなく、踏まれるほどに光沢が出てくるのも特徴です。
そんなペルシャ絨毯と他の絨毯の違いは、毛足の長さと密度の高いパイルにあります。密度が高いために下まで汚れが浸透することはほとんどなく、毛先にしか汚れは付着しません。そのため普段のお手入れは掃除機をかけるだけで十分ですが、一年に一度はかたく絞った雑巾で表面をさっと拭くとよいでしょう。粘着式のテープで埃などをとることは、生地を傷めるので控えた方がよいでしょう。
また絨毯は湿気を嫌いますから、日本の梅雨時期には、晴天時に2~3時間干すと安心です。ただそのときは退色や黄変を防ぐために、必ず裏干しすることが大事です。
小さめのサイズなら、手洗いをすることも可能ですから、臭いがきになる場合や汚れがひどい場合は、水洗いをするとよいでしょう。ただ水分を含むとかなり重くなるので、取り扱いは大変なので注意してください。
臭いが気になるからといって、重曹やベーキングパウダーなどを使用するのはやめましょう。
粉末状のカーペットクリーニング剤は、化学繊維用のものなので、臭いをとろうと思っても使用はできませんから注意しましょう。