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ペルシャ絨毯のお手入れの仕方


ペルシャ絨毯について



ペルシャ絨毯は、現在のイラン周辺、ペルシアと呼ばれていた地域で生産されている絨毯のことです。起源は古く、今から3,000年前とも4,000年前とも言われていて、今のような美しいパイル織ではなく、獣毛を固めただけの簡単なものであったと想像されます。それが長い年月を経て、ペルシア文化や芸術の象徴であるといっても過言ではない、代表的な美術工芸品の一つになりました。サイズも様々なものがあり、60×90cmの「ボシティ」、80×120cmの「ザロチャラク」、100×150cmの「ザロニク」、150×200cmの「ドザール」、150×250cmの「バルテ」、200×300cmの「ガーリィ」の他に、正方形の「モッパラ」や廊下に敷いて使用する「ケナレ」などもあります。

素材としては、コルクウールやマンチェスターウール、キャメルウールといった、羊の毛が最も多く使われています。特に、小羊からとれるコルクウールは最高品質として知られています。絹も使用されることがありますが、羊毛に比べて値が張りますし、耐久性の面でも劣ってしまう上、日光によって変色してしまうために、絹だけで織られた絨毯はあまり一般的ではなく、絨毯よりもタペストリーのような飾りで使われることがほとんどです。また、絨毯の8割以上には、縦糸にコットンが使われています。

ペルシャ絨毯のデザインは、唐草文様、アラベスク文様、忍冬文様などが、共通するモチーフとして使われていますが、産地や家系ごとに伝統的なデザインを継承しています。職人さんの長年の記憶や、培ってきた経験によって作られることが多いです。下絵の作成も時代の流れとともに変化をしていて、最近では、絨毯の大きさに縮小あるいは拡大するためにコンピューターが使われています。



ペルシャ絨毯の製作工程



絨毯の製作工程は、大きく分けて7つあります。まず始めにデザインを起こします。職人さんによって図案が描かれ、各部分に細かく色付けをしていきます。次に、絨毯の素材となる糸を紡ぎます。同じ羊から取れた毛でも、肩やわき腹の毛の方が、品質が良いと言われています。羊から刈り取られてすぐの原毛は、汚れや脂肪により染着性を弱めてしまうため、石鹸とソーダを使って何度も洗います。そして手作業で糸を紡いでいきます。

そして、糸を染色していきます。ペルシャ絨毯の最大の魅力である美しい色合いは、糸の染色が重要になってきます。現代では合成染料が使われることもありますが、昔ながらの天然染料にこだわっている工房も数多くあります。繊維の芯まで染まる天然の素材で染められた糸は、長い年月を経ても色褪せない上に、味わいの深いものへと変化していきます。当然ながら、天然染料で染めた糸が多くなるほど、コストも高くなります。

次が、絨毯の命であり一番時間と手のかかる、織りです。織り子が、丁寧に手作業で糸を結んで作っていきます。この結び目が多い程、織り目が細かく品質の良い絨毯になります。数え切れないほどの結び目を作り、長い時間を掛けて絨毯が完成します。緻密に織られた絨毯の裏側には、表となんら遜色ない美しい図柄が描かれることでも有名です。結び方には、ペルシャ結びとトルコ結びがあります。

次に、織っている間についてしまった埃や不要な毛を取り除くために、水と鉄金具を使って洗っていきます。洗うことで、織機から外して縮んで堅くなってしまった絨毯を、柔らかく仕上げることができます。

そして乾燥させます。敷き詰められた石の上で、太陽と乾燥した空気で自然乾燥します。乾燥に時間がかかってしまうと絨毯の品質が低下してしまうため、直射日光と照り返しを利用することによって、早く乾かします。表と裏が乾くと、物干しにかけて、内側まで乾燥させます。最後に最終チェックです。ナイフのようなもので、絨毯の表面を綺麗に整えたら完成です。



ペルシャ絨毯を長く使うためのお手入れ



製作工程でも説明した通り、ペルシャ絨毯はたくさんの人が携わり手作業で大切に作られているため、価格も高くなります。一枚の絨毯を作るのには半年から、長いもので一年以上かかるとも言われています。当然ですが、全て手作業のため同じものはこの世に二つとありません。だからこそ大切に使って、お手入れもしっかりしたいですよね。

普段の生活で気をつけたいのは、湿気です。絨毯の色合いが変化してしまったり、耐久性が落ちたりします。週に二回程度、絨毯の目に沿って掃除機をかけましょう。そして年に数回は、固く絞った雑巾で拭いてあげましょう。同じ場所だけが消耗してしまわないように、一定の期間で絨毯の向きを変えてあげるのも長持ちさせるコツです。

しかしながら、どんなに大切に使っていても汚れや臭い、傷みなどは出てきてしまうものです。そんな時には、プロのクリーニングに任せると良いでしょう。専門店であれば、依頼すれば自宅まで業者さんが引き取りに来てくれるところもあります。クリーニングが完了すると配送してもらえますので便利です。もちろん、シミ抜きや、ペットなどの臭い、房の部分の修理も任せることもできます。なるべく数年に一度はプロのクリーニングにお手入れをお願いして、大切に使いたいものです。

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