床に置くための敷物として定番のものは、やはりペルシャ絨毯の名前が良く挙がります。それだけ美しいデザインのものが多いからなのですが、これも一種のアートと言ってもいいでしょう。それほど多様なデザインのものがあるのです。一般からするとどれも同じペルシャで作られた絨毯と一くくりに見ていることも多いのですが、その世界はとても奥深いものなのです。
デザインでペルシャ絨毯を分けていくと、中心部に大きな模様を持つメダリオンというタイプと、そのメダリオンの四隅に統一された模様があるメダリオンコーナー、そして、統一された模様だけで構成されているオーバーオール、そして幾何学模様で作られたジオメトリック、モスクをイメージしたようなメヘラブ、絵画や景色などを絨毯に作りこんだピクチャなどに分けられます。もちろんこれらに分けられないものもありますが、概ねこのようにしてデザイン的には区分されます。
他にも、産地によっても区分がされる事があります。ペルシャ絨毯の後ろに例えばクム、タブリーズと言うように記載があります。これらは産地で、クムは日本へ輸出される最大の産地でもあり、シルクで多くの絨毯を作っています。また、タブリーズはイラン最大の産地としても知られていて、こちらは逆にウールを使った絨毯が多くなります。色味に関しても赤や茶、白、黒と多種多様な色を使って作られています。他にもイスファハンやカシャーン、ナインといった産地から絨毯は主に作られていて、日本にも輸出されています。
日本に輸入されているのはとても品質の良いものが多いのですが、実際に現場で作られているものに関してはいろんなものがあります。一つ一つの品物が手作りされるというのが特徴でもあるのですが、そうなるとここの品質についてはやはりばらつきがあるのです。バイヤーがきちんと絨毯を確認した上で買い付けに入りますので、全ての絨毯が買取出来るという訳ではないのです。それに、欧米向けの大きなタイプの方が良く作られていて、日本の家屋に合うような小さなサイズと言うのはやはりまだまだ少ない現状があります。
いろんなタイプのペルシャ絨毯がありますので、好みのデザインのものを見かけたらじっくりと良く眺めて吟味してみましょう。絨毯も一期一会ですから、この次にまた同じ絨毯に出会える機会はないかもしれません。美しいアートとして良く考えて、購入できそうであればぜひ一度は自宅に置いてみて下さい。