ペルシャ絨毯といえば、誰もが知っている有名な絨毯です。ではこの絨毯はなぜここまで世界中で人気なのでしょうか。
ペルシャ絨毯の主な産地は、クム・タブリーズ・ナイン・イスファハン・カシャ-ン等があります。これらの有名な産地のもの以外にも、地方産地の多くの絨毯が存在し、その産地によって絨毯の特色も違ってきます。また、そのデザインも様々です。まずはメダリオンというデザイン。中心部に大きな模様を持ち、絨毯の主要な文様であると言えます。続いてはメヘラブというデザインです。こちらはイスラム教のモスクをイメージしたデザインです。ペルシャ絨毯が織られるイランではほとんどがイスラム教徒なので、現地の人々と深いつながりのある文様だといえます。その他花を模したもの、木をデザインしたもの等が多くありますが、ピクチャーという風景・人物・物語を絵画のように描いたデザインまで存在します。その種類の多さにより、自分の好みにピッタリ合う絨毯を探し出すのは少し大変ですが、この多様性こそ人気の理由の一つであるといえます。
ペルシャ絨毯の起源は未だ定かではありませんが、その発祥は今から少なくとも3000年は遡ると考えられています。イランにおいて絨毯づくりが発達したのは16世紀からのサファヴィー朝からで、多くの絨毯工房、宮廷工房まで設立され、金糸を使った華麗な絨毯が作られ、インドのムガル朝、トルコのオスマン朝にも影響を与えました。また、この頃の絨毯は、外国への贈答用としても用いられました。
18世紀、サファヴィー朝が滅びると絨毯の生産も途絶えてしまいましたが、19世紀後半からタブリーズ地方の絨毯を中心として欧州市場を開拓するようになったことで、そのデザインや風合いがヨーロッパから注目されました。第一次世界大戦後も制作は引き継がれ、世界に認められたイランの工芸品として今なお人気を博しているのです。
現在では日本でもインテリアとして使われていますが、定着してきたのは割と最近のことです。しかし、古来の日本においてすでに絨毯が渡来していたといわれており、それは文献でも確認されています。古いものでは、魏志倭人伝に、明帝が邪馬台国の卑弥呼に絨毯と思われる敷物を贈ったという記録があります。京都の高台寺には、豊臣秀吉が着たとされている陣羽織が残されていますが、これはペルシャ絨毯を裁断して作られたものです。また、祇園祭では山鉾の懸装にペルシャ絨毯が使われています。日本と絨毯との関係は意外と古くからのものなのです。
日本とも古くからつながりをもち、世界を魅了し続ける絨毯を、ぜひ生活の中に取り入れてみてください。