ペルシャ絨毯の魅力を掘り下げて考えてみる
空間演出に大貢献のペルシャ絨毯
知り合いの家に行き、玄関やリビングに敷いてあるラグやギャッベに思わず目が引かれてしまうことがあります。もちろん大きさにもよりますが、それら床に敷くものというのは誰の目にも入りやすく、サイズが大きいものになるとその場の雰囲気をガラッと変えるほどインパクトの強いものです。そのような敷物には様々な種類があり、ペルシャ絨毯もその一つです。
ペルシャ絨毯の起源がいつかは明確には判明していませんが、昔は今のようなパイル織ではなく獣毛、つまりらくだや羊の毛で織られていたようです。今と同様に住宅や王宮などに敷いていたと思われますが、石のような固い素材ではないため、ペルシャ絨毯の初期のものと思われるものはほとんど残っていないようです。しかし、その伝統的な作り方は脈々と受け継がれ今に形を残しています。
ペルシャ絨毯がある空間というのは、たったそれだけで荘厳さがうまれるものです。色々な色で織りこんでありますので、冒頭に述べたように思わず目が引かれてしまう程の美しさなのです。
ペルシャ絨毯が出来上がるまで
ペルシャ絨毯は、ペルシャ文化や芸術を代表する美術工芸品でもあり、職人業の集合体といえます。まず、デザイン画の作成から入りますが、通常であれば実際に作る絨毯の何分の一かのサイズで、方眼紙などに鉛筆等で柄を描いていきます。そして、その柄に色をつけていきます。デザインにも色々あるようで、中世的でエキゾチックあふれるデザインはアラベスク文様。縦長で、左右対称の経常をもつ糸杉を主とした糸杉文様、さらに渦を巻くようにつなげる蔓を描いたエスリミー文様、その他花や鳥をモチーフとした花鳥文様など、他にも5種類ほどのデザインがあります。
次は、実際に絨毯を織る糸になりますが、羊の毛を用いる場合、織るための糸を作るために汚れなどを落とし綺麗にするために洗い、糸を縒っていきます。そして、デザイン画をもとに糸に色をつけていきます。色の付け方は大きくわけて2種類あり、合成染料で付ける場合と天然染料で付ける場合があるようです。どちらが良いかといえば、天然染料で色を付けた方が繊維の芯まで染まり、そのため色あせしにくいという特徴があるため重宝されるようです。
このようにして準備された糸を、デザイン画をもとにして織りこんでいきます。糸と糸を結んでいく作業を繰り返す訳ですが、結び方には2種類あり、ペルシャ結びとトルコ結びというものがあるようです。最後に織られた絨毯を洗って、そして干して、全行程が完成となります。この洗い方にもこだわる会社もあるようで、例えばウールで作られた絨毯は水を使って洗いますが、シルクで織られた絨毯の場合には塩分を含んだ井戸水で洗う会社もあるようです。こうすることで、色がより安定して柔らかい仕上げになるということですが、いずれにしても、先人達の知恵を引き継いで、今のペルシャ絨毯があることが分かります。
ペルシャ絨毯の手入れとは
近年は家具や絨毯なども安価なものがたくさん販売されているため、一つのものを長く使うという方も少なくなってきたのではないでしょうか。しかし、比較的高価なものであるペルシャ絨毯を使い捨てする人はあまり居ないとは思います。だからこそ長く大切に使いたいものですが、ただのカーペットや絨毯ならクリーニングが可能ですが、ペルシャ絨毯ともなるとさすがに無理だろう…と思ってしまうかもしれません。しかし、ペルシャ絨毯もクリーニングが可能です。もちろん、どこでもクリーニングしてくれる訳ではありませんが、きちんと対応してくれるところであれば絨毯を傷めずに綺麗にしてくれますし、クリーニングだけではなく修理してくれる会社もあります。
特にペルシャ絨毯の場合、縁には「ふさ」がついている事が多いのですが、ふさは特に傷みやすいかもしれません。ふさも修理が可能ですが、出来るだけ早く修理しておかないと、どんどんと傷んでいる箇所が広がってしまう可能性が高いため、日頃からの手入れに加えて時には思いきった手入れが必要です。せっかく、高級感の漂うペルシャ絨毯を手に入れたのなら手入れをしっかりと行い、いつまでも存在感のある絨毯を維持するようにしたいものです。
また、これから絨毯を購入しようと考えている人がいたら、購入後の手入れまであらかじめ考えておいた方が良いといえます。どうせ買うなら、色々な種類の中からお気に入りの絨毯を購入し、大切に使って長持ちさせたいものです。絨毯には色々な種類があり、ペルシャだけではなくパキスタン絨毯、アフガニスタン絨毯、トルコ絨毯、インド絨毯など、多種多様です。当然ですが、それぞれの絨毯によってデザインや作り方、また手入れ方法も異なる場合があります。近くに絨毯を扱う専門店があるのなら細かく聞くことも出来るでしょうが、今はインターネットでもかなり細かい情報を調べることが可能です。もちろん写真つきですから、自分の家に合うもの、或いはこれから作る家に合うものやオフィスなどに合う絨毯を、お店に行かなくても選ぶことが出来ますし、手入れの方法なども細かく知ることも出来ます。