ペルシャ絨毯の起源は3000年から4000年と言われており、とても歴史のある手工芸であり優れた芸術です。
羊や駱駝の毛を糸にし、様々な植物で染色をして織っていきます。気の遠くなるような作業を経て、すばらしい絨毯が作られます。
日本でペルシャ絨毯といえば、『お金持ちの家に敷かれている絨毯』という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
特によく見られるのは、玄関に敷かれた絹のものが主流でしょう。艶やかで繊細な絹で作られたペルシャ絨毯はとても美しいものです。日本では、財産として所有し鑑賞することが目的なのではないかと思われます。その場合、日本人にも親しみの深い絹は感性にあったのでしょう。
また、日本人は家の中では靴を脱いで生活しますので、羊毛よりも弱い絹で作られたペルシャ絨毯でも、気にすることなく使用できたのではないでしょうか。
しかしながら、本物と呼べるのは羊毛で作られたものを言うのです。それはなぜなのでしょう。
ペルシャ絨毯の良し悪しを見極めるひとつに、目の細かさがあります。目が細やかで揃っているレベルの高いものは、裏を見れば一目瞭然です。非常にきれいな模様が見てとれるはずです。そのレベルに達するためには、まず、糸作りからなのです。
絹よりはるかに大きな素材である羊毛を細い細い糸にしていくことは大変です。
更に、その糸を柄に合わせて目を揃えて織っていく作業は、時間と技術が必要です。
そして、色の深さです。最近は化学染料を使用しているものがありますが、色の深さが違います。化学染料で染めたものは、色が鮮やかで眩しいくらいです。しかし、本物の色は天然染料を使います。鮮やかながら深みのあるなんとも味わい深い色となります。その色は褪せることなく、絹のものより時が経つにつれ深みを増していきます。
一番違いが出るのは赤です。ひとくくりに赤といっても、その幅は広く見比べて見極める目を持つしかありません。
もうひとつ、ペルシャ絨毯は色々な地方でそれぞれの特徴を見出して作られています。
幾何学模様が得意な地方、自然をモチーフにしたデザインが特徴の地方など様々です。
その中から、あなたの感性に合ったお気に入りの柄を織る地方の絨毯を見つけていただきたいのです。
ご自分の目で、糸や目の細かさ、色、そして大好きな模様を織る地方を探し、あなただけの本物の一枚を手にして下さい。
そして、是非、鑑賞するだけでなく生活の中で触れて下さい。
足ざわりの良さに驚くはずです。
絹のものは踏めば踏むほど痛みますが、羊毛のものは踏めば踏むほど艶が増していきます。
本物は艶やかに輝き続けるのです。