インテリアとして備えたい歴史ある織り物キリム
キリムの製品と言葉のルーツ
長い歴史を持ち、異国で織られた美しい敷物として、今なお愛され続けているキリムという織物があります。この織物はなぜ多くの人々の心を惹きつけ、世界各国で使用されているのでしょうか。まず歴史をひもときながら、その織物の魅力について詳細にお伝えします。
キリムを具体的に説明すると、アナトリア高原から広がる遊牧民のチュルク族たちが織っている平織りの敷物のことです。この織り物の歴史を遡ると、今から約9000年前に始まったと言われています。その伝統的な表現方法は長い歴史の中で母から子へ受け継がれ、ある特定の形や幾何学的なパターンに織られています。全て手作りとなっており、一針一針に女性たちの想いが込められています。
キリムはトルコ語ですが、今では世界各国で共通語として使用されています。ただし一部例外として、ケレムやギルムと言っている国もあります。この言葉が世界各地に浸透した理由として、チュルク族の女性の手により作られたキリムが近隣で作られた織物と比べても数段に人気が高かったという点が挙げられます。そのため19世紀末あたりから特にヨーロッパの人たちの間で名称が広まり、その結果、世界各国でキリムの織物の存在が敷物として認知されるようになりました。原産地では敷物としてだけでなく、テントの生地や収納の道具、部屋の間仕切り、壁飾り、テーブル掛けとしても幅広く使用されています。
キリムの素材と特徴
素材には主に羊の毛を用いています。その他にも様々な素材が使用されており、中にはヤギ・ラクダ・綿・シルクなどが使用されているものもあります。キリムは垂直に縦糸をぴんと張った織り機に、横糸を通して目を詰めながら作られていきます。色を切り替えるときは横糸を織り返すので、幾何学模様を織り込んでいくとその部分に隙間ができます。こうした技法や道具は、国によって違います。また、織り方にもジジム・スマック・ジリといった技法があります。複雑な工程を踏んでいくため、1枚完成するまでに平均して2か月もの時間を要します。
様々な国で作られているキリムですが、製造方法は国によって微妙な差があります。独特な模様が印象的ですが、その模様には、製作者の強い願いと意味が込められています。地母神や星の模様の場合は豊穣への祈りが込められ、花の模様は花園への憧れであったり、ドラゴンや目、そして狼の口と足跡の模様は悪へのお守りといった意味を示しているのです。
ではキリムを染める時、どのような染料が使用されているのでしょうか。これは化学染料と天然染料の二つが使われています。元々は天然染料、すなわち草木染めだけで染めていましたが、その場合時間と労力がかなり必要となるため、19世紀後半にその対策として化学染料が使用されるようになりました。しかし年数を過ぎると色落ちがする化学染料と比較して、天然染料は時間を重ねるたび段々と色に深みが増すので、天然染料の方が人気があります。この天然染料の原材料は、赤色は茜の根・昆虫の皮です。その他に青は藍・マメ科植物の葉、黄色はサフラン・玉ねぎ・麦わら・ざくろ、葡萄、緑はウコン、茶色は木やクルミの皮、黒はタンニン、橙はプラムを染料として使用しています。
キリムを購入する方法とポイント
ここまでは歴史と特徴について説明してきましたが、ここからはあなたがお部屋に備えてみたいと考えたとき、あらかじめ知っておくと便利なポイントを紹介します。
購入方法は、大まかに分けて二つあります。一つはインターネットを使って、取り扱っているお店のホームページから購入する方法、もう一つは専門店に行って直接見て買う方法です。この二つに共通する重要な点、それは品質・素材・デザインの3つです。それらに合った見積もりをよく検討して買い求めることが大切です。
そこで、購入するにあたって覚えておきたいポイントがあります。それは、キリムは細い糸の方が年数が過ぎるほどつやと柔らかさが出てくるということです。そのため、織り目が詰まっている方が製品として上質なものといえます。分からないことは、インターネットを利用する場合は各店のHPの質問コーナーに納得がいくまで相談をしたり、直接専門店を訪ねる場合はスタッフさんにプロの視点でアドバイスをしてもらってから購入するのがベストな選択です。キリムへの興味を持っている方も、インターネット及びお店から届いたダイレクトメールで、告知された展示場に直接足を運び、製品一つ一つを充分に吟味してみてはいかがでしょうか。
キリムは外国の織り物ですが、和室に敷いてもよく合います。それは織り方が、日本の歴史ある織り方のつづれ織りとよく似ているからで、和の部屋によく馴染むのです。また、夏は涼しく冬は暖かいので一年中使えます。さらに、折り畳みが可能なため収納にもとても便利です。歴史ある美しい織り物のキリムは、お部屋のインテリアとして最適といえるでしょう。