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ペルシャ絨毯の柄の種類とそれを織り込む作業について


産地によってさまざまなものがあるペルシャ絨毯の模様



イランの芸術品の中でも、最もゴージャスで、なおかつ最も長い歴史を持つものの1つに、手織りのペルシャ絨毯があります。1枚1枚の絨毯は、イラン人が、芸術の分野に於いて長い歴史の中で築き上げて来た努力の結晶と言えます。一口にペルシャ絨毯と言っても、その中に織り込まれる柄はさまざまな違いがあります。ペルシャ絨毯の模様は、産地と織り手の職人によってかなり多くの種類が存在するため、その全てを記憶するのは不可能に近いと言われています。

それらの中でも、「メダリオンデザイン」は、一般的な知名度が最も高い模様と言って良いでしょう。ペルシャ絨毯の中でも最もトラディショナルな柄は「ラチャクトランジェ(メダリオン)」と呼ばれるものです。「ラチャク」とは「メダリオンの4分の1」、「トランジェ」は「中心のメダリオン」を意味します。こちらは、絨毯の中心にある模様を、左右上下対称の模様が囲い、4隅のデザインが同じものになります。また、中心のメダリオンはあるものの、コーナーの模様がない柄はトランジェと呼ばれます。

次に、「(KHESHTI)ヘシテイー模様」は、上下対称ではない縦柄になります。ヘシテイー模様のペルシャ絨毯は、四角い升目の中に、さまざまな模様が織り込まれています。また、「(GHONBADI)ゴンバデイ」は、宗教的な要素が採り入れられている柄です。絨毯の中心に、モスクの中で下から見上げた時の天井のデザインがほどこされ、絨毯全体が実際の天井のような広がりと存在感を持っています。また、中心にメダリオンがなく、絨毯全体に同じ柄が織り込まれているものは「(AFSHAN)アフシャーン」と呼ばれます。そして、「(MOHARAMAT)モハラマト」は、中心部にストライプの模様が入っているという特徴があります。また、「(MEHRABI)メラビ」には、宗教的要素の採り入れられており、モスクの中で祈る場所をイメージしたデザインがほどこされています。



いろいろな柄のペルシャ絨毯とそれをつくるための作業



その他にも、「ゴルボテ(花模様)」、「パランデ(鳥)」、「ジョウシャガン(ナイン産地の細かい模様)」、「マヒ(魚)」と呼ばれる模様などがあります。その内、「(MAHI) マヒ」は、「魚」という意味のペルシャ語です。この模様のペルシャ絨毯では、タブリーズを産地とするものが知られています。また、古くから知られるペルシャ絨毯の模様には、「ハンティングデザイン」もあります。そして、「花模様(ローズバラ)」も、とても高い人気を呼んでいます。

ペルシャ絨毯の素材を準備してから、織りを経て、販売に至るまでには、たくさんの関連する作業が発生します。まず、ペルシャ絨毯の素材には、シルクまたはウール、もしくはその両方が使われます。それらの素材を用意し、希望する色に染め上げた後、織りの作業に入ります。そのように、素材となるシルクやウールを染める作業もペルシャ絨毯をつくる上では不可欠なもので、行うためには専門的なスキルを必要とします。

素材を希望の色に染めた後、絨毯を織る作業が始まります。まず、チェレケシー織り機に縦糸を張りますが、こちらには、非常に繊細で正確な作業が求められます。この段階で正しい作業が行われないと、イメージデザインの寸法を正確に再現することができず、仕上がった商品の価値は著しく低いものとなってしまいます。



「模様作り」から織りの作業を経て、出来あがった絨毯の買い付けを行うまで



次に、「ナグシェーケシー(模様作り)」という段階に入ります。織り込みたい柄を、絨毯と同じ大きさの方眼紙に描いて、彩色をほどこします。そのようにして出来あがったデザイン画を見ながら、職人による織りの作業が行われます。基本的に、ペルシャ絨毯は全て一点ものの商品となるため、織り終わった後のデザイン画は処分されます。ただし、サイズの小さいものやそれほど品質の高くないものを織る際には、数枚の絨毯に同じデザイン画が使用されることもあります。

そして、チェレケシーとナグシーケシーの作業が終わったら、ようやく絨毯を織り始めることとなります。絨毯の織りの作業を行う職人の数は、絨毯の完成幅のサイズによって決められます。ペルシャ絨毯の中でも、幅の狭いものには1~2人、広いものには3~6人の職人が織りの作業を担当します。

また、ペルシャ絨毯をつくる作業の1つに、「結び」と呼ばれるものがあります。こちらは、1目ずつ縦糸に横糸を、手結び、もしくは「チャーグ」と呼ばれるナイフを用いて結ぶ作業になります。そして、結びの作業によって、パイルができます。最初の段階では、パイルの長さは3~4cmもあるので、この時点では絨毯を表から見てその模様を判別することはできません。そのため、絨毯の買い付けを現地の職人からダイレクトに行う場合は、絨毯を裏から見て、色とデザインを選ぶことが必要となります。

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